水素を液体で貯蔵するには-253°Cまで温度を下げる必要があります。
それゆえ、この手法はエネルギー効率が悪く、現実的ではありません。
この手法では水素は水素化物としてある物質(水素吸蔵合金)内に可逆的に吸着され、貯蔵されます。そして物質内に吸着された水素は、使用する際に復元または“脱着”されます。この方法に用いられる水素吸蔵合金には沢山の種類があり、私たちが開発した水素吸蔵合金は常温低圧化で使用可能なため、高い安全性を持っています。しかしながら、これら水素吸蔵合金は吸着できる質量に制限があり、また、合金自体が重いため、コンテナの最終的な重量も大きなものになります。これらを考慮し、水素の固体状態での貯蔵は基本的にステーション型(移動しない固定タイプの施設)、小型の移動型および移動常設型設備の使用に向いていると言えます。
ガスを貯蔵するためのタンク容量を小さくするためには、圧力をかけなければなりません。MAHYTECはそのために、中圧(30気圧(3MPa);常圧の30倍)、更には700気圧(70MPa)に耐えうるタンクを開発しており、これらはフィラメント・ワインディングの技術によって支えられています。すなわち、ガス状態の水素を貯蔵するプラスチック製のライナーを複合材料(炭素繊維が主な原料)の繊維により強化するのです。これらの繊維はライナーの圧力負荷に対する耐性を上げるので、高圧貯蔵においては非常に有用です。
そうだ、友よ、私はいつの日か水が燃料の代わりになることを信じているよ。水を構成している水素と酸素は、単独または一緒に使うことで、熱や光のエネルギー源として利用できる。そして、それらは無尽蔵にあって、石炭とは比べられないほどのエネルギー密度を持っているんだ。そしていつの日か、蒸気船や機関車の火室では石炭の代わりに圧縮された水素と酸素が使われ、膨大な熱出力で燃えることになる。だから、何も怖がる必要はないよ。この土地に住んでいる限り、この土地はここに住んでいる人たちが必要なものを授けてくれる。光も熱も、絶対に無くなることはないんだ。
ジュール・ヴェルヌ
神秘の島